これまでの契約プロセスとの違い

医療情報を扱う事業者がAIベンダーと契約する際、BAA(業務提携契約)の締結は通常、営業担当者との個別交渉を必要とする重い手続きだった。Anthropicは今回、EnterpriseおよびAPI組織向けにこのプロセスをセルフサーブ化し、組織のPrimary Ownerが管理画面上でBAAを確認・同意するだけで完結するようにした。

有効化の手順

Organization Settingsから、BAAのダウンロードと確認、実装ガイドの確認を経て「Accept and enable HIPAA」を選ぶという流れで完了する。有効化後は、チャット、プロジェクト、アーティファクト、音声モードといった標準のEnterprise機能に加え、管理者の設定次第でコネクタや企業内検索も利用できるようになる。

対象外になる機能に注意

すべての機能がBAAの対象になるわけではない。Claude CodeはZero Data Retention(ゼロデータ保持)を有効にした場合のみ対象となり、標準設定のままでは対象外だ。Coworkも現時点ではBAAの対象に含まれていない。

医療機関のIT担当者が気をつけたい点

もう一つ見落とせないのが、HIPAA有効化が組織内の一部設定をリセットする不可逆な操作だという点だ。一度有効化すると元に戻せないため、どの製品がBAAの対象で、どの製品が対象外かを実装ガイド(https://support.claude.com/en/articles/13296973-hipaa-ready-enterprise-plans)で確認してから作業を進める必要がある。セルフサーブ化によって導入スピードは上がるが、確認を怠ると組織全体に想定外の設定変更を及ぼしかねない。