Agent-to-Agent(A2A)プロトコルが公開されてからちょうど1年が経った。周年記事にありがちな自画自賛かと思いきや、Googleが強調しているのは意外と地味な「引き継ぎの作法」の話だ。
REST APIは、決められたエンドポイントに決められた形式で投げれば、決められた形式で返ってくる。この決定論的な性質が長年の分散システム設計を支えてきた。ところがエージェント同士のやり取りはそう単純にいかない。相手が今どこまで作業を終えていて、次に何を渡すべきかは、会話の流れの中で自律的に判断される部分が大きい。A2Aは、この会話的で予測しづらいやり取りを安全に成立させるための共通ルールとして設計されている。
FoldRunという具体例
抽象論だけでは実感が湧きにくいが、記事で紹介されているFoldRunの事例は分かりやすい。タンパク質の構造予測は、配列解析、構造モデリング、検証といった専門性の異なる複数の処理をまたぐ。これを1つの万能エージェントにやらせるのではなく、専門エージェントごとに分業させ、A2Aで橋渡しする構成が現実的な選択肢として動き始めている。生命科学という専門領域での採用は、A2Aが実験的な仕様ではなく実運用に耐える段階に入りつつあることを示している。
楽観だけでは終われない部分
一方で、公開から1年というタイミングで振り返り記事が出ること自体、標準化の道のりがまだ途上であることの裏返しでもある。プロトコルが優れていても、対応するエージェント実装やツールが揃わなければ絵に描いた餅になる。REST APIがWebの共通言語として定着するまでに何年もかかったことを考えると、A2Aのようなエージェント間プロトコルが同じ地位を得るには、もう少し長い普及期間が必要になりそうだ。採用状況や具体的な接続方法は、Google Developers Blogの記事(https://developers.googleblog.com/how-a2a-is-building-a-world-of-collaborative-agents/)で継続的に更新されている。