ブラウザ上で動くAIエージェントは、人間向けに作られたボタンや入力欄を見て「これは送信ボタンだろう」と推測しながら操作する。この推測が外れれば誤操作につながる。Googleが6月9日に発表した「WebMCP」は、この推測の精度をサイト側の宣言で補おうとする仕組みだ。

できるようになること

Chrome 149のオリジントライアルとして提供され、開発者はページの状態管理をWebMCPツールとして実装できる。想定用途として挙げられているのは、氏名を1つの欄で受け取るか姓名別で受け取るかといった細かいフォームの違いをエージェントに正確に伝えることや、エージェント向けの開発者ツールを介した効率的なデバッグだ。登録はGoogleの開発者ポータルから行い、実際のユーザーを交えたテストの結果が今後の仕様設計にフィードバックされる。

アクセシビリティ属性との違い

Webにはすでにスクリーンリーダー向けにARIA属性という「意味を明示する」仕組みがある。WebMCPはこれに近い発想だが、対象が人間の補助技術ではなくAIエージェントである点が異なる。つまりサイト運営者は今後、人間向けのUI、検索エンジン向けのメタデータ、そしてエージェント向けの対話仕様という3つ目のレイヤーを意識する必要が出てくるかもしれない。

懸念点

サイト側が「このボタンはこう使ってほしい」と宣言できるようになることは、エージェントの誤操作を減らす一方で、宣言内容が悪意を持って書かれた場合にエージェントを誤誘導する新しい攻撃面にもなりうる。ChromeがGitHub Copilotのブラウザ操作機能などと同時期にこうした基盤を整えている背景には、エージェント向けWeb標準の主導権争いという側面もありそうだ。詳細はChrome for Developersの発表(https://developer.chrome.com/blog/ai-webmcp-origin-trial)にある。