JSONは出せてもデータ契約は満たせなかった
産業向け要約処理のプロトタイプで、MicrosoftのISEチームはある壁にぶつかりました。LLMにJSON出力を指示すれば構文としては正しいJSONを返せても、求めるスキーマ(データ契約)通りの構造を安定して満たすことができなかったのです。この問題への回答が、決定論的な抽出処理とAI推論を分離する4段階パイプラインでした。
0%から100%への改善が示すもの
ソフトウェアで機械的に処理できる部分(決まった形式のデータ抽出など)は普通のコードへ戻し、AIには本当に曖昧な判断を要する推論だけを任せた結果、スキーマ適合率は0%から100%まで改善したといいます。この数字の落差は、「LLMに全部やらせる」設計と「LLMの役割を絞る」設計とで結果が大きく変わることを端的に示しています。
AIを業務システムに組み込む際の指針として
生成AIを実務のパイプラインに組み込む際、つい「AIに任せれば楽になる」と考えがちですが、この事例は逆の教訓を与えます。責務を分離してAIの担当範囲を絞るほうがシステム全体としては安定するという設計原則は、要約処理に限らず抽出・分類系のタスク全般に応用が利きそうです。詳細な構成はISE Developer Blogの記事に詳しく書かれています。